"総会屋2.0"山本一郎(やまもといちろう)氏の検証

「総会屋2.0」と呼ばれた山本一郎氏に関して全3回の記事で検証します。

【おわりに】拝啓、山本一郎様。

おわりに

山本一郎様、お読みいただいた読者の皆様、長い長い記事に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

まず、「この記事の筆者は、どの立場から書いているのか」と思われた方が多いと思います。

私は、山本一郎氏とは公私ともに一切関係がなく、面識もありません。

また、ここで取り上げた企業とは、取引や利害関係は一切ないことを誓って明記しておきます。

また、実名の山本氏に対してペンネームで検証するのは卑怯である、という批判は甘んじて受け入れます。

 

山本一郎氏へのお願い

そして、山本一郎様へのお願いがあります。

1.

この検証記事に事実と異なる記述がありましたら、訂正しますのでご連絡ください。@kurikindi1」のツイッターアカウントからフォローしておりますので、DMでご連絡ください。

 

2.

反論があれば、掲載するご用意があります。

反論をいただいた場合には、なるべくご要望に沿う形で掲載します。

私からの再反論を書く場合は、コメント欄に書きます。

12/31〜1/4は十分な対応できない場合がありますが、悪しからずご了承ください。 

 

 3.

山本一郎様、その卓越した調査能力を、大きな発言力を、世の中のため、読者や視聴者のために使ってください。

企業や行政の不正・問題は、これからもどんどん告発して燃やしてください。

 

AppBankの告発記事、お見事でございました。むらいキッズの千本ノックも楽しく拝見させていただきました。

お好きなゲーム業界におけるコンプガチャ問題の指摘や、ステマ問題の指摘などは、社会的にとても意義がある記事だったと思います。

ですが、AppBankの記事については、やましいことがないのなら、情報の入手手段に不正がないのなら、過去に取引関係があったことは記事中に明記すべきだったと思います。

不正を告発することと、過去に取引があったことに関連性がなかった場合にも、記事中にそのように書くのが、読者に対して誠実な態度だと思います。

ステマ」を糾弾する山本様が「ステポ」をするのでは、やはりおかしいと思います。

 

【第2回】の「2009年6月26日(金)」のくだんのツイートが、株主としての自分の正当な権利の行使ではなく、もしも、別の誰かのために議事を妨害する行為を意味するのであるのならば、それは株主の権利の濫用だと思います。

 

ヤクルトファンの山本様が、好きでもない楽天GEのアドバイザーに就任した理由が、堀江氏のツイートの推測通り、三木谷社長からの要請で砲撃停止と擁護を意図としたものならば、それは間接的なブラック・ジャーナリズム、「総会屋2.0」だと思います。

 

「チケット転売問題」のように議論が分かれるトピックについては、利害関係があって一方的な立場に立って書くのであれば、立場を隠したり偽ったりする「ステポ」は、読者に対しても「有利誤認」を招きますし、対立する立場の相手にとってもフェアではありません。

読者に分かるように、記事中にその立場を明記したうえで、その立場からの意見や正しさを堂々と社会に向けて主張すべきです。

味方企業の擁護をすることも、敵対企業の不正を告発することも、立場を明確にしたうえなら問題ないと思います。

また、味方企業の不正を見つけた場合、自分の利害より公益を優先して告発するのは大きなリスクを伴うことですが、立場のために沈黙するのは恥ずべきことではないと私は考えます。

 

 

最後に、このブログ記事を紹介します。

内容は、吉本興業系のノンバンク「吉本ファイナンス」が反社会的勢力とつながっていることを書いた、サイゾーの記事に対する「火消し」です。

なぜ「火消し」と断言できるかというと、結びはこのようになっているからです。

 なお、このエントリーは諸般の都合によりポジショントークが含まれておりますので、内容につきましてはいろいろお察しください。

この日記では、山本様は「ステポ」をしませんでした。

サイゾーの記事が不確かなことを書いてたり、本来議論すべきところがずれているのならば、吉本興業と利害関係がある身として、その立場を明確にしながら書くのであれば、それはフェアで正しい行為だと思います。

「傭兵として事案の成立のために誠実であるのか」「人間としてあるべき生き方に誠実であるのか」。ここでは山本様は後者を優先したのだと、勝手ながらそのように想像しております。

山本様の今後の記事や発言に、「ステルス・ポジショントーク」がなくなることを願っております。

 

謝辞

●longlow様

私の山本氏に対する検証は、この日記を読んだことから始まりました。

読めばお分かりいただける通り、私の第1回の記事については、事実関係はこの日記ほぼそのままです。事実の部分とはいえ、骨組みをそのままお借りして、肉付けする形で記事を構成してしまいました。

よりコンパクトにまとまってこちらの方が優れた記事ですので、読者の皆様、ぜひご訪問のうえブックマークをお願いします。事実の参照だけでなく、検証の糸口となるヒントもいただきました。 ありがとうございました。

 

 ●ryun_ryun様

【第1回】AppBank社に向けた「やまもといちろう砲」の背後にあるもの - "総会屋2.0"山本一郎(やまもといちろう)氏の検証

これを読んで、「ステルスポジショントーク」という言葉を来年流行らせたくなった。

2016/12/28 14:18

 「ステルスポジショントーク」[(C)ryun_ryun]という素晴らしいキーワードをいただきました。ありがとうございました。

 

●ロシア西海岸様

私立探偵 山本一郎さん|「やまもといちろう(山本一郎・切込隊長)」考察

検証の資料となる情報を残していただき、ありがとうございました。

 

※20171/8追記

【最終回】山本一郎氏と音事協"重鎮" との蜜月

 最終回では、山本一郎氏と芸能界のつながりについて検証します。

 

INDEX

 

1 - 映画「この世界の片隅に」とのんへの圧力を巡る論争

2016年12月より、映画「この世界の片隅に」の声の主演のん(能年玲奈)がテレビ・ラジオに出演することに対して、圧力があったのか、なかったのかという論争が山本一郎氏と映画評論家町山智浩氏の間で始まります。  

 町山氏がこのようにツイートすると、すぐに山本氏から疑義が提示され、圧力の有無をめぐる論争になります。


音楽事業者協会(以下、音事協)について、Wikipediaからから抄出して引用します。

(※太字、下線は筆者による)

一般社団法人日本音楽事業者協会は、日本の芸能事務所で構成される業界団体である。

タレントの引き抜きによる事務所間のトラブルの防止や著作権・肖像権などの権利確立、タレントの雇用環境の改善等を目的として1963年に創立された、最大規模の業界団体である。
音事協音制連よりもマスメディアへの影響力が強いとされる。

イエローキャブ、エイベックス、太田プロ北島音楽事務所研音サンミュージックソニー、第一プロ、長良プロ、バーニング、ホリプロ、マセキ芸能、マナセプロ、吉本興業、渡辺プロ(50音順)など数多くの有名プロダクションが加盟していることから、芸能プロダクションが加盟する業界団体の中では最大規模と言われている。
2009年4月15日、協会に寄せられた匿名の投書によって、ABCラジオ誠のサイキック青年団」番組内において複数の正会員社の所属タレントに対する長期間にわたる数多くの不適切な発言、誹謗(ひぼう)中傷が多数認められたため協会は松竹芸能朝日放送両社に抗議文と調査依頼書を送付。両社は事実と認め3月に謝罪して音事協を自主退会した。なお、両社とものちに再入会している。 

出典:日本音楽事業者協会 - Wikipedia

 

 

2 - 山本一郎氏が芸能界の関わりを否定する3つの嘘

一連の論争のなかで、山本氏はなぜ芸能界、音事協側に立って話をするのか、という疑問が寄せられると、山本氏は次のように自分と芸能界の関わりを否定します。

しかし、このなかにはいくつか明確な虚偽がありました。

1:山本一郎氏は「タッチプランニング」のタレントだった?

 まとめのなかで、山本氏が芸能プロダクション「タッチプランニング」に所属しているタレントだったのでは、という疑問が寄せられると、次のように否定します。

 しかし「タッチプランニング」のHPには、山本氏が次のように紹介されている履歴が残っており、文化人として所属していたことがわかります。

f:id:Kurikindi:20161230085245p:plain

出典:株式会社タッチプランニングアーカイブ:2006/1/13)

 

2:山本一郎氏は北野誠氏が干された事件を知らない?

次の2つのツイートで、山本氏は「芸能界にカルテルがあるのは知らない」ということ、前述のWikipediaにあった2009年のABCラジオ誠のサイキック青年団」で北野誠氏が不適切発言で干された事件を「知らない」と述べています。

 

しかし、山本氏は自身のブログでその事件を取り上げ、次のように書いています。

(※太字、下線は筆者による)

追い出した側もそういう商売であるし、追い出された側はそういう商売の持つ側面を確かに率直に公の分かる形で言ってしまったという点で、あまり不自然な点がない。常識的に考えるならば、いずれ起きることだったのだろう<中略>

 

本件北野某の場合も、繁華街の飲食店同様、ある程度見聞の利く範囲で暴力団然とした法を超越している団体がある種の秩序を形成していて、分を超えた珍客や屑店は暴力団に両脇つかまれて界隈から追い出される、という構造とあんま変わらんのではないかと思う。松竹もけじめのつけ方は考えただろうが、やはり音事協の件からすると土下座では済まない話だったのだろう。


 芸能界にやくざが居るのは法規として望ましくないよね、という表向きの議論はともかく、実際そういう界隈でこのような事案が起きているのだから仕方がない。<中略>

 

実際に中堅芸人を文字通り干すだけの力はあったのは証明されたのだから、そっち方面の暴露系の言説はやはり歯止めがかかるのだろう。<中略>

 まあ、この辺は本当の意味で暴力団の聖域なんだろうねえ。マスコミ各方面に喰い込んで、評判を上げ下げすることで飯を喰う、というみかじめ料的なビジネスにおいては。

出典:やまもといちろう - 狼とみかじめ料(北野誠追放問題) - Powered by LINE

このように、北野誠氏の件について「知らない」どころか、かなり詳しく書いています。

また、音事協カルテルとして機能していて、北野誠氏を干したことを「追い出した側もそういう商売」「不自然な点がない」「いずれ起きること」「仕方がない」「実際に中堅芸人を文字通り干すだけの力はあったのは証明された」と述べています。

さらに、音事協のことを暴力団然とした法を超越している団体」とし、「本当の意味で暴力団の聖域」と表現しています。

 

3:山本氏は「芸能界の人」「音事協のスポークスマン」ではない?

次のツイートで、山本氏は芸能界や音事協との関わりを否定しています。

 

しかし、山本氏自身の発言から過去の経歴を整理すると、芸能界のある人物と長い間関係を築き、仕事で関わっていたことが分かりました。

その人物は現在、音事協No.2の地位にいます。

元・よしもとクリエイティブ・エージェンシー専務取締役で、現・日本音楽事業者協会専務理事の中井秀範です。

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出典:役員一覧 | 一般社団法人 日本音楽事業者協会 JAME

 

中井秀範氏とはどのような人物なのか。ネット上で公開されているページから、本記事と関わりがある部分のみ抜き出して引用してプロフィールを紹介します。(※太字、下線は筆者による)

中井 秀範(なかい ひでのり)

1958年10月22日、富山県高岡市生まれ。
1981年 吉本興業株式会社入社。桂三枝桂文珍明石家さんまダウンタウン等のマネージャーを歴任。

2000年 KDDIとの合弁によるインターネット事業会社であるファンダンゴ制作担当取締役就任。
2002年 ㈱ファンダンゴ代表取締役就任。

2003年 ㈱ファンダンゴ代表取締役退任。
      東京電力との合弁による㈱キャスティ代表取締役就任。
2007年 ㈱よしもとファンダンゴ 代表取締役社長 就任
2014年 株式会社よしもとアドミニストレーション 代表取締役副社長
2015年 吉本興業株式会社 退社
同年6月   一般社団法人 日本音楽事業者協会 専務理事 就任。
      一般社団法人 映像コンテンツ権利処理機構 理事

出典:http://www.tokyo-shintoshin-rc.org/schedule/2487/

 

なお、リンクは貼りませんが、Instagramでは山本氏がフォローしているのは52人、中井秀範氏がフォローしているのは98人のなかで相互フォローしており、親密な仲であることが伺えます。

仕事では実際にどのような関わりがあったのか、時系列を追って確認します。

 

3 -  山本一郎氏と吉本興業の長い関わり

山本氏と中井氏がどのように知り合ったかは定かではありませんが、仕事での交流は古くからありました。

確認できる情報で最も古いのは今から14年前、2002年に同席したイベントです。

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出典:ASCII.jp:【ニュース】テレビ東京の深夜番組「秋葉な連中」がauムービーメール・フォトオーディション

 

このイベントは、吉本興業の子会社で、 吉本興業KDDIによる合弁で2000年1月に設立された「株式会社ファンダンゴ(のちに「株式会社よしもとファンダンゴ」に社名変更、2010年に「よしもとクリエイティブ・エージェンシー」に吸収合併され解散)が関わる企画のイベントです。ファンダンゴは、ブロードバンドや携帯電話向けのエンターテインメントコンテンツの制作・配信などを業務とする会社ですが、山本氏のI&P社が番組の企画、プロデュースなどで関わっていました。

参考:よしもとファンダンゴ - Wikipedia

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出典:http://bb.watch.impress.co.jp/news/2002/08/29/fandan.htm

 

山本氏のI&P社のHPアーカイブでは、「主要取引先」に吉本興業、株式会社ファンダンゴ、株式会社タッチプランニングが記載されていることが確認できます。

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出典:イレギュラーズアンドパートナーズ株式会社:会社案内アーカイブ2003/10/2)

 

また、山本氏は自身のメルマガで、次のように述べています。

この手の情報系の番組を扱ったことは私個人としては初めてではありません。ご存知の方も多いかと思いますが、もともとは吉本興業(まだ上場していたころ)のアドバイザーとして、ガバナンスの仕事を少し触らせてもらう一方、大恩ある方から「山本君、喋り面白いから」ということで、テレビ東京系のアイドル番組「秋葉な連中」や吉本製作のテレビ番組の企画や、当時吉本が手がけていたCSファンダンゴのプロデュースなどもさせていただいておりました。

出典:「最近面白くなくなった」と言われてしまうテレビの現場から | プレタポルテ by 夜間飛行

 

中井秀範氏は、2003年に株式会社ファンダンゴを退任して、次は吉本興業東京電力との合弁会社「株式会社キャスティ」の代表取締役として就任します。キャスティは、東京電力光ファイバー「TEPCOひかり」のコンテンツとしてサービスとして無料動画ポータルサービス「casTY」などを運営していました。

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出典:http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/news/20071025/1003857/?P=4

 

山本氏は、ここでも仕事で関わっていたことを話しています。

吉本興業東京電力合弁会社が展開していた『casTY(キャスティ)』という無料動画ポータルのサービス企画にかかわっていたことがある

出典:http://type.jp/et/log/article/nextsocial-2/3

 

2005年には、吉本興業は動画配信サービス「JOOKEY(ジョーキー)」の運営などする子会社「株式会社ベルロックメディア」を設立。

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出典:よしもとJOOKEY for スゴ得|ドコモスゴ得コンテンツ

 

同年4月のイベントでは、山本氏は「ベルロックメディア シニアマネージャー」の肩書で出席しています。

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出典:「35%取得で勝負あり」ライブドア問題を“切込隊長”山本氏らが議論

前述の中井秀範氏の経歴にはこの会社は記載されていませんが、このインタビューでは中井秀範氏も関わっていることを話しています。

 

なお、この頃ライブドアによるフジテレビ買収騒動がありましたが、山本氏は自身のブログで奇妙な発言をしています。(※太字、下線は筆者による)

2005年04月03日 00時37分

ライブドア吉本興業を買収  水面下で進めていた

やれやれ。東京スポーツの終面に「次はお笑い・堀江社長吉本興業買収 水面下で進めていた」とな。土曜売りで、というのはギャグの心得が分かってるんですかねえ。想定内とはいえ、またいかだか…。

http://www.tokyo-sports.co.jp/

出典:切込隊長BLOG(ブログ) - ライブドアが吉本興業を買収 水面下で進めていた

東スポによるこの内容の記事を「ギャグ」としていますが、このような話は本当にあったのか。また、最後の「いかだ」とは、何か。

 

「いかだ」について、その1ヶ月前のブログでこのように書いています。(※太字、下線は筆者による)

2005年03月09日

日本助け船舶振興会
 助け船=いかだ

 燃え盛りいまにも爆発しそうな原子力空母に立ち向かういかだを仕立てたい諸君。一緒に放射能にまみれて海の藻屑となってみないか? 晴れて自宅に無言の帰宅をしたい諸兄の応募を心からお待ちしている。

※ 現在の状況 いかだが現地に向かった。

出典:切込隊長BLOG(ブログ) 〜俺様キングダム: 日本助け船舶振興会

このようなことが本当にあったのかは憶測の域を出ませんが、つまり、ライブドアによる吉本興業買収の対抗として、山本氏が吉本興業に手助けをしていたことを示唆していると言えると思います。

 

このように長い関わりがある2人ですが、近年でも吉本興業のイベント「ツッコまれピッチ!」に2013年、2014年、2015年と3回同席しており、山本氏はブログの告知でこのように話しています。

敬愛する中井さんとご一緒できて感無量です。

出典:やまもといちろう - 12月10日、吉本興業&大阪市の『ツッコまれピッチ!』に参戦します - Powered by LINE

MCがあの小籔千豊さんだし、横には業界の重鎮中井秀範さんいるし、社長室の木村深雪さんには凄い気遣い披露されるし、結構精神的にもしんどいイベントになりそうな気がするわけですが、気のせいでしょう。

出典:やまもといちろう - 12月10日、吉本興業&大阪市の『ツッコまれピッチ!』に参戦します - Powered by LINE

f:id:Kurikindi:20161230111751j:plain出典:http://www.innovation-osaka.jp/ja/events/2603

f:id:Kurikindi:20161230111956p:plain

出典:http://www.innovation-osaka.jp/ja/events/event-reports/4104

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出典:https://www.sansokan.jp/events/eve_detail.san?H_A_NO=20359

このような経歴から、山本一郎氏と中井秀範氏は、仕事上でも長い間親密な付き合いがあったと言えます。 

 

山本一郎氏と吉本興業、中井秀範氏との関わり
2000 1 吉本興業KDDIの出資で「株式会社ファンダンゴ」設立、中井秀範氏は制作担当取締役として就任
2001 6 「イレギュラーズアンドパートナーズ株式会社」(I&P社) 設立
2002   中井秀範氏、株式会社ファンダンゴ代表取締役に就任
2002 12 ファンタンゴのイベントで、中井秀範氏と同席
2003   吉本興業東京電力との合弁会社「株式会社キャスティ」設立、中井秀範氏は代表取締役として就任
2005 3 吉本興業の子会社「株式会社ベルロックメディア」設立
2005 4 ベルロックメディア「山本一郎シニアマネージャー」としてイベントに出席
    ライブドアによる吉本興業買収に対する山本氏の「いかだ」発言
2007   中井秀範氏、「株式会社よしもとファンダンゴ代表取締役社長に就任
2013 11 「ツッコまれピッチ!」2013に山本氏と中井秀範氏が同席
2014 9 「ツッコまれピッチ!」2014に山本氏と中井秀範氏が同席
2015   中井秀範氏、吉本興業株式会社 退社
  6 中井秀範氏、一般社団法人日本音楽事業者協会」専務理事に就任
  12 「ツッコまれピッチ!」2015に山本氏と中井秀範氏が同席
2016 8 チケット転売反対の共同声明

 

4 - 山本一郎氏による「音事協」側からの発言

今年8月には、音事協を含む4団体がチケットの高額転売に反対する共同声明を発表し、所属する事務所の人気アーティストからの賛同が数多く寄せられ、Webサイトも立ち上がって話題になりました。

中井秀範氏も、専務理事としてメッセージを寄せています。

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チケットの転売については、ダフ屋の買い占めによる高額転売が問題になる一方、個人譲渡などの二次流通の自由は保たれるべきなど、考え方や転売方法についても対立する議論があります。

 

そこでは、山本氏はYahoo!ニュース個人と自身のブログでこのように発言しています。

内容は、ダフ屋による高額転売を問題視する一方で、業界団体による努力を指摘し、チケットの再販・二次流通の仲介業者のブログに対して反論しています。

 

また、ITライターの岡田有花氏が次のツイートが917RT、426Favを集めると、山本氏はそれに対しても引用RTで反論します。

いずれも、音事協ふくむ業界団体側を擁護する内容ですが、上記のように音事協中井氏と密なつながりがある山本氏は、自身の立場を明確にしていません。

 

5 - 山本一郎氏の「ステルス・ポジショントーク」問題

山本氏に対する事実関係の検証は一旦ここで終え、ここから先は筆者による問題提起になります。

 

これまで述べてきたように、議論が分かれる問題に対しても、山本氏は立場や利害関係を隠しながら、一方の側に立った発言を繰り返してきました。

この記事のコメントで、ryun_ryun氏より「ステルス・ポジショントーク」と名付けられました。

問題の追及や、ある議題に対する一方の側から立った言論は、基本的には事実関係が間違っていなければ問題ないと考えますが、それを読む側からすればどの立場からの発言なのかは知っておく必要があります。

これまでに取り上げてきた山本氏の発言の中には、AppBank社の件のように過去にあった取引の有無を明示しなかったり、冒頭の論争では芸能界や音事協について虚偽の発言があるなど、立場を隠したり偽ることがあったのは問題だと考えます。

 

山本氏が立場を隠すのであれば、ここで上げた発言以外の数多くの言論、例えば豊洲市場移転問題、都知事や都議会について、その他もろもろの言論についても、誰かとの利害関係があるのではないか、と信頼性が揺らいできてしまいます。

 

ここから先は、完全に筆者の推測になります。

冒頭の町山氏との論争についても、芸能界とのつながりが密であることについて、何もやましいことがないのであれば山本氏はそれを明らかにすべきでした。

 

芸能カルテルとして音事協が大きな力を持ち、タレントを干す力があることは、山本氏自身がブログで述べていた通りです。

 

山本氏が、のん(能年玲奈)が所属していたレプロ・エンターテイメントや、系列のバーニングなどの事務所と懇意であるならば、山本氏はレプロ側からの擁護とも考えられます。

しかし、山本氏がレプロではなく吉本出身の音事協専務理事の中井秀範氏と懇意であって、その立場を隠し、また虚偽の発言によって自分と芸能界との関わりを否定しました。

山本氏が立場を秘匿して発言してきたことによって、やはり音事協が芸能カルテルとして機能していることを山本氏自らが証明しているのではないか、と筆者は考えます。

 

 【おわりに】拝啓、山本一郎様。に続きます。

【第2回】山本一郎氏のCAモバイルとの離別、楽天への癒着

第1回の記事ではAppBank社の背後にあった取引関係について検証しましたが、この記事ではAppBank社に途中まで関わっていたサイバーエージェント・グループと、楽天との関係について検証します。

 

INDEX

 

1 - CAモバイルとの連結解消

前回の記事で取り上げた「株式会社ユーフォロス」は、サイバーエージェント・グループの株式会社シーエー・モバイル(以下、CAモバイル)が67%、山本一郎氏が設立したイレギュラーズアンドパートナーズ株式会社(以下、I&P社)が33%の共同出資で設立した合弁会社でした。

しかし、2009年6月〜2010年1月のどこかのタイミングで、CAモバイルはユーフォロス社を手放し、連結を解消することになります。

CAモバイルのHPのインターネット・アーカイブを遡ると、会社概要のグループ会社の欄から「株式会社ユーフォロス」が消えていることから確認できます。

f:id:Kurikindi:20161228172440p:plain

 ↓

f:id:Kurikindi:20161228172445p:plain

出典:http://web.archive.org/web/20090622092957/http://www.camobile.com/about/index.html?

   http://web.archive.org/web/20100104023618/http://camobile.com/about/index.html

 

どのような理由でCAモバイルがユーフォロス社を手放したのかは不明ですが、この前後で山本氏のサイバー・エージェントに関する発言がどう変わったかを確認します。

 

山本氏のアカウントから「サイバーエージェント/CAamebaアメーバサイゲームスcygamesCAモバイルシーエーモバイル」のいずれかの文字列を含むツイートのみを抽出すると、最も古いツイートは次のものになります。

山本氏のツイッターアカウントの開設は2007年4月、本格稼働は2009年6月からになります。上記の前に1100以上のツイートがありますが、サイバーエージェント・グループに関する直接的な言及はありません。

その後、次のように続きます。細かい言及のものは避けて、特徴的なもののみ恣意的に取り上げますが、詳細はツイートを抽出したリンクをご参照ください。

 

また、2012年以降はブログやメディアでの言及も多くなります。

上記のように攻撃的な内容が多いですが、これらが公正な態度の問題・不正の追及であったのか、ポジション・トークであったのかは断定できません。

ここでは「CAモバイルと関係が解消されたであろう以降に、攻撃的な言及が現れるようになった」ということのみ記しておきます。

 

2- 山本一郎氏がこの時期に悩んだこと

CAモバイルとの関連は不明ですが、山本氏は自身のブログである悩みを告白しています。

傭兵稼業 - やまもといちろう はてな避暑地(※太字・下線は筆者による)

2009-08-20 傭兵稼業

■ 誰の犬になるかは悩む
金のために働くのが傭兵稼業であるのは割り切るとして、その傭兵が誠実に職務をこなそうとした場合に、雇い主のどの部分を信じて忠実であるべきかは悩ましい。

事案の成立のために誠実であるのか、合法性を担保するために誠実であるのか、人間としてあるべき行き方に誠実であるのか。
まっとうに生きるのってむつかしいね。お金を持っていたとしても。 

山本氏は「金のために働く傭兵」であり「誰かの犬」であったそうで、「誰の犬になるか」を悩んでいたそうです。

 

 ということだそうです。

 

上記は揶揄する目的で掲載したのではなく、このツイートを取り上げる必要性がありました。それは、この「2009年6月26日(金)」という日は、社会問題となっていた総会屋を出席させないための対策として、企業が意図的に同日に開催するようにしている株主総会集中日」でもあるからです。

株主総会集中日の決まり方 | リサーチ | 大和総研グループ | 鈴木 裕

6月最終営業日の前営業日
・当該日が月曜日である場合には、その前週の金曜日 

 

3 - 楽天GEのアドバイザーに就任

 2015年2月に、山本氏が東北楽天ゴールデンイーグルスの「チーム戦略室アドバイザー」に就任したことが話題になりました。

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出典:http://www.rakuteneagles.jp/news/detail/4888.html

 

このことによって楽天に対する発言がどのように変わったのかを比較します。

ブログとメルマガのなかで、楽天を取り上げた回をすべて時系列順に並べます。

2010/7/7:やまもといちろう - ネット民、楽天の社内公用語を英語にするという三木谷社長の微妙な英語力を心配する(追記あり) - Powered by LINE

2011/10/21:やまもといちろう - 楽天が横浜買収で「DeNAは出会い系だから反対」と歴史的大ブーメランを投擲 - Powered by LINE

2012/8/7:人間迷路 Vol.017 楽天koboちゃんが面白すぎる件と、中国の情報統制が堤防決壊で結構あれこれ騒ぎ発生の件など > The Book Project 夜間飛行 | 受信箱に本が届く

2012/10/25:やまもといちろう - 楽天kobo、消費者庁に行政指導を無事喰らう - Powered by LINE

2013/3/16:やまもといちろう - 楽天マートが凄いことになっている件で - Powered by LINE

2013/9/3:楽天が2億ドルで動画サービスという名目のクラウドソーシング事業を買収(山本一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

2013/11/8:やまもといちろう - 【号外】楽天・三木谷浩史さん周辺で薬事法が出火で面白事案発生中 - Powered by LINE

2013/11/10:「胡散臭い三木谷楽天」と自民党の深谷隆司さんがスピーキング問題(山本一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

2014/6/5:「ドラクエ10」不正業者と黒幕のクズ(修正あり)(山本一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

2014/9/10:Appleのモバイル決済システムや楽天の米EC事業買収から見るプライバシーの考え方(山本一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

タイトルだけでも分かるように、そのほとんどが攻撃的な内容です。

 

しかし、2015年からは一転、擁護・火消しする内容の言及が現れます。

 アドバイザー就任は、2015年2月12日です。

2015/4/18:中国への大規模な個人情報漏れ事件は、通商破壊目的のサイバー攻撃か(山本一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

 

特に、楽天銀行の口座凍結に関する擁護は、異論が多かったことがニュースにもなりました。

2015/9/27:やまもといちろう - ネット銀行経由での詐欺が多発している件で - Powered by LINE

2015/10/6:ネット銀行やメガバンクの口座が一時凍結されてしまった、そのときは(山本一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

このように、アドバイザー就任によって、楽天に関する言及が攻撃から擁護へ鮮明に態度が変わったことが確認できます。

無償ボランティアではなく仕事であるならば報酬が発生しているはずですが、山本氏はこの業務がどれだけの内容で、どれほどの報酬を得ているのでしょうか。

 

また堀江貴文氏は、山本氏の就任について(野球チームの大久保監督ではなく)三木谷社長によるトップダウン案件であるらしい、とツイートしています。

 

ここで問題とするのは、いわゆるステマ問題にあるような「有利誤認」「優良誤認」ではありません。山本氏の立場は明確であるし、読者もそのように読めます。

これは行き過ぎた懸念であるかもしれませんが、前述のようなAppBank、CAモバイル、楽天の3社に対する態度の転向を考えると、次のようなことも考えられます。

  1. 「やまもといちろう砲」をやめさせるには、楽天のように仕事を発注する取引先となってお金を払わなければいけないのか 
  2. しかし、AppBank社やCAモバイルのように関係が終わると、取引や内部にいたことで知り得たかもしれない情報による攻撃が再び始まるようになるのか

  3. また、山本氏がレギュラーコーナーを持つYahoo!ニュースやフジテレビなどの影響力の大きいメディアが、「総会屋の拡声器」として太鼓持ちの太鼓」として利用される危険性があるのではないか

話が戻りますが、第1回で取り上げたAppBank社のマックスむらい氏は、山本氏への反論動画のなかで次のように述べています。

本件に関して、この週末に山本一郎氏の下部組織の面々からAppBankの過去の退職者宛てに、「社内情報を持っていないか」「木村の連絡先を知らないか」「他の退職者の連絡先を知らないか」などなど連絡が回っているということを報告を受けています。

また、山本氏は20代に企業の不祥事調査専門の探偵として2年半ほど働いていた経験があり、対象の会社に実際に就職をして退職を繰り返すなどし、20社近くの調査をしたことをインタビューで話しています。(※太字・下線は筆者による)

大学の先輩が探偵社をやるというので、事業の立ち上げ方を知るためにも、まずそこで探偵になりました。

――探偵に!?

その探偵社は対企業で、不祥事の調査専門だったんです。例えば、横領事件とか横流しといった事件を調査するときに、わざわざ相手の会社に就職をして中に入って調べるみたいな、そういうことをやる。起業のための修行と思っていましたが、想像以上に楽しい仕事で、途中で事業売却するまで、2年半ほどやっていました。

――その頃に培われたものって、今の発信にも生かされている……?

そりゃあもう。例えば探偵の基本動作である「ゴミ箱を漁る」ということなど、調査にとても役に立つことを知りました。会社では上の人がいろいろな指示を出して、その指示を人に伝えるためのメモを書きますが、それはいずれゴミになるわけです。だから、真実というのは、意外とゴミ箱の中にあったりする。

書きかけの書類がそのままゴミ箱に捨てられていて、そういう情報をつなぎ合わせて真実に迫る、みたいなことは、私の性分として合っていたんだろうと思います。

それから、いかに見知らぬ組織に入り込むかということも経験しました。ご一緒した会社での調査方法は、対象の会社に実際就職して、数カ月から半年くらいその会社で仕事をして、中で人間関係を築いて……というもの。そうやって、中にいないとわからない問題を聞き出さなければいけない。

出典1:戦場の移り変わりについていけない人は死ぬ 「切込隊長」から「山本一郎」へ【発信の原点】(Yahoo!ニュース個人 アプリ特別企画) - 個人 - Yahoo!ニュース

「実際にしかるべき仕事について、その会社の社員になって調査をするのが普通ですね。」

山本さんがここ2年間で調査した会社は18社。<中略>山本さんによると、企業の機密データの流出は、外部からネットワークを通じて入り込むクラッキングより、社内の人間によるものがほとんどだそうだ。

出典2:私立探偵 山本一郎さん|「やまもといちろう(山本一郎・切込隊長)」考察

 

【はじめに】で解説しましたが、楽天や上記の探偵業務のように、企業の内部に食い込んで擁護したり不祥事を探る手法は、ブラック・ジャーナリズムによく似ています。

 

【最終回】山本一郎氏と音事協"重鎮" との蜜月に続きます。

【第1回】AppBank社に向けた「やまもといちろう砲」の背後にあるもの

 【はじめに】では、総会屋、ブラック・ジャーナリズムの問題性について述べましたが、第1回のこの記事では、話題となったAppBank社への追及について検証します。

 

INDEX

 

1 - 「やまもといちろう砲」はここから始まった

「やまもといちろう砲」の言葉が登場したのは昨年6月、AppBank社が東証マザーズへの上場に向けて準備していた時に発信されたこの記事についてです。

グノシー他、AppBank「モンスト攻略」ブーストでアプリダウンロード数を水増し(山本一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

 

さらに、AppBank社の上場が承認された直後の昨年9月、ステマ記事に対する追及も発信しています。

AppBankが上場承認されましたが、ステマ記事が多いのは問題ではないでしょうか(山本一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

AppBank、GREE『消滅都市』とガンホー『パズドラ』で常習的にステルスマーケティング実施か(山本一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

 

昨年12月にAppBank社元役員による業務上横領が発覚すると、さらに厳しい追及が始まります。

やまもといちろう - AppBankの上場直後の元役員横領発覚が物悲しすぎてヤバイ - Powered by LINE

 

もっともインパクトの大きかったのは、今年2月に立て続けに発信されたこの記事でしょう。

【修正あり】AppBank社、元役員の横領金の流出先に「暴力団関係者」の疑い 調査報告書に記述せず(山本一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

【追記あり】AppBank社への公開質問状(暴力団がらみ)(山本一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

AppBank「暴力団関連は追加調査なし」の不可解と廣瀬光伸さんパワハラ問題(山本一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

このなかで、山本氏は横領をした木村氏から3,000万円超の金額が暴力団へ流れたことを指摘し、AppBank社の内部資料を入手して記事にも掲載しています。

f:id:Kurikindi:20161226131659p:plain

出典:http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20160206-00054186/

 

このような内部資料を入手できる山本氏の調査能力に驚いた方も多いと思いますが、なぜこのようなことが可能だったのか、また、なぜこれほどまでに記事を連射してAppBank社を追求し続けたのか、山本氏とAppBank社の関係を遡ってみると次のような関係が浮かび上がってきます。

 

2 - マックスむらい氏のかつての親密関係

山本氏の追及を受けて、AppBank社の顔でもあるマックスむらいこと村井智建氏は、反論動画で次のように述べています。

彼にはAppBankをスキャンダラスに叩く理由が、メリットがあります

(中略)

彼が今回、あのような記事を書いたのは正義のためではありません。それが彼のビジネスであり、彼のAppBankへの恨みをはらすための手段です。

 出典:「「AppBankは暴力団と関係がある」という事実はありません。」(YouTube

 

マックスむらい氏の言う、山本氏の「AppBankを叩く理由」「AppBankへの恨み」とは何なのか。

ここでは、マックスむらい氏は前述の反論動画で「ある事実」を隠しています。

また、山本氏も一連の追及記事で、同じ事実を隠しています。

 

それは、山本氏が経営するイレギュラーズアンドパートナーズ株式会社(以下、I&P社)の子会社「株式会社ユーフォロス」が、かつて、AppBank社の親密な取引先であったことです。 

 

イレギュラーズアンドパートナーズ株式会社(公式HP)

株式会社ユーフォロス(公式HPアーカイブ

「株式会社ユーフォロス」設立(リリースPDF)

(※共同出資したシーエー・モバイルとの関係は第2回で後述します)

 

 

メディア企業であるAppBank社は、仲介役である広告代理店を通じて、広告主から広告料の収入を得ています。

山本氏のユーフォロス社はAppBank社と独占契約を結んで、他の広告代理店と競合することなく広告枠を得られる関係でした(※根拠は後述)。

具体的にどのような契約だったのかは定かではありませんが、あくまでも一般的な《メディア=広告代理店=広告主》の関係で考えるならば、以下のようになります。詳細に関しては、事実と異なる可能性があることをご留意ください。

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山本氏のTwitterアカウントからマックスむらい氏、Appbank社へのリプライを遡ると、かつての関係性が見えてきます。

 

ある時まで、山本氏はAppBank社を応援するツイートしかしていませんでした。

いくつかピックアップします。 

@entrypostmanはマックスむらい氏

@appbankはAppBank社代表取締役の宮下泰明氏個人とAppBank社公式の共用。

  

また、山本氏はマックスむらい氏の誕生日、第一子、第二子の出産時にはこのようにもツイートし、またオフでの付き合いもあったことがうかがえます。

 

3 - 「AppBankに対する恨み」とは何か

しかし、2013〜2014年を境に山本氏の態度は一転、攻撃的なものに変わります。

山本氏の態度がこのように変わったのは、なぜか。

ここからは憶測の域を出ませんが、山本氏がAppBank社と訣別した背景には次のような事実があったようです。

山本氏がBLOGOSに寄せた記事から引用します。(※太字・下線は筆者による)

実は、私のところもAppBankの広告事業で子会社が提携していた時代があり、他にもコンテンツ制作事業や投資事業をいくつか抱えておりましたのでPR事業の窓口を換えて展開したりしておりました。

「広告営業については専属契約だ」というので、社員を貼り付けて頑張っていたんですが、途中からいつの間にか他社がAppBankの媒体資料をもって弊社子会社よりも安い値段で広告を売っていたので当然こちらは売れないわけですね。

最初、社員一同「なんでAppBankの広告だけ売れないんだろ?」と思っていたら、何のことはない、広告営業の専属契約をしている弊社以外のところでタイアップその他自前でやって、その営業が「山本さんのところに出している正規の値段より、貴社には安く提案できます」とかセールスしてたのが後で分かりました。 

 出典:http://blogos.com/article/116569/

 マックスむらい氏の言う「AppBankへの恨み」とはこのケンカ別れのことなのか、あるいは他にも理由があるのか、それは定かではありません。しかし、大きな理由の一つであると考えられます。

 

4 - AppBank社追及記事の問題性

この件について、AppBank社を擁護する意図も、擁護すべき点もありませんが、【はじめに】でふれたように、記事内で山本氏のAppBank社の過去の関わりや立場を明確にしなかったことは問題です。

自身の言葉にあるように、読者がうっかり普通の記事だと信じ込んでしまうからです。

前述のBLOGOSで書いていたとはいえ、ノンクレジット広告が問題であると同様に、記事内で読者がきちんと分かるように立場を明確にすべきでした。

山本氏はAppBank社追及の理由について、記事内で以下のように述べています。ここには「ユーフォロス」社の名前も、過去に取引があった事実も書かれていません。

 むしろ好きです。AppBank、愛しています。ラブユーむらい、フォーエバー宮下。

こんな面白いネタを投下してくれて、愛でないわけがないじゃないですか。

単純に、個別論ではなく一般論としてステルスマーケティングインサイダー取引など欺瞞的取引が嫌いだ、もし情報があれば詳しく知りたい、可能な範囲で事実関係を調べたい、調べて事実だったら横槍が入る前に一目散に暴露したいと思っているだけですので、どうかご安心ください。

<中略>自分なりに調べて正しいと根拠が得られたものに関してだけ、神から与えられた命の時間を使って、お世話になっている社会の暮らしが公正・公平で豊かなものであるように働きかけていきたいとだけ、考えている次第です。どうかご理解ください。

出典:http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20150914-00049509/

■「山本さんはAppBank社やマックスむらいさんが嫌いなの?」

好きですよ。愛読していましたし、AppBankで見たゲームを多数ダウンロードしています。

■「それなのに、AppBank社の問題をなぜ取り上げているの?」

AppBank社が犯罪に巻き込まれていることが確定しているからです。

経理部門の責任者であり、後にAppBank社の役員となる木村さん(仮名)が、架空の取引先を作り、そこに不正送金する形で、1億4,000万円以上の資金を流出させてしまいました。

まずここで、AppBank社は被害者であると同時に、この役員(経理部門責任者)が横領したことへの管理責任を問われます。

なぜAppBank社が責任を問われるのかというと、AppBank社は株式をマザーズ市場に上場している企業だからです。つまり、AppBank社は、投資家からお金を集め、適切な経営のもと事業拡大し、利益を上げていますよ、だから皆さんAppBank社の株式を買ってくださいね、投資してね、という立場です。誰かが好きか嫌いかではなく、投資家からお金を出してもらって経営している上場企業は、市場や投資した株主に対して状況を説明する責任があります。

今回のように、このAppBank社の役員が不正をしていました、ということであれば、AppBank社は速やかに投資家に謝罪をし、実態の調査を行い、仕事の仕方の改善をしなければなりません。

出典:http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20160208-00054232/

 

ちなみに、AppBank社との関連は定かではありませんが、AppBank社との競合でもある「4gamer.net」にも山本氏は2009年から記事を寄稿しており、2015年より「4Gamer.net エクゼクティブプロデューサー」というポジションに就任しています。

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出典:https://ja-jp.facebook.com/ichiro.yamamoto

 

5 - 【年表】山本一郎氏とAppBank社の関わり

    山本一郎氏、ユーフォロス、AppBank社に関する事柄
関 係 各 社 の 沿 革 と 山 本 氏 の 記 事
2001 6 「イレギュラーズアンドパートナーズ株式会社」(I&P社)設立
2008 5 I&P社と株式会社シーエー・モバイルの合弁会社として「株式会社ユーフォロス」設立
2008 10 「AppBank.net」サイトを開設
2009〜2010 シーエー・モバイル、ユーフォロスを手放し連結対象外へ(第2回に詳述)
2012 1 「AppBank株式会社」設立
2013〜2014 この間に関係悪化か
2015   山本氏「4Gamer.net エクゼクティブプロデューサー」に就任
  6 「グノシー他、AppBank「モンスト攻略」ブーストでアプリダウンロード数を水増し」
    AppBank社、東京証券取引所マザーズ上場の承認
  9 「AppBankが上場承認されましたが、ステマ記事が多いのは問題ではないでしょうか」
    「AppBank、GREE『消滅都市』とガンホー『パズドラ』で常習的にステルスマーケティング実施か」
  10 AppBank社、東京証券取引所マザーズに上場
  12 AppBank社、元役員による業務上横領の疑い
  12 「AppBankの上場直後の元役員横領発覚が物悲しすぎてヤバイ」
2016 2 「【修正あり】AppBank社、元役員の横領金の流出先に「暴力団関係者」の疑い 調査報告書に記述せず」
    「【追記あり】AppBank社への公開質問状(暴力団がらみ)」
    「AppBank「暴力団関連は追加調査なし」の不可解と廣瀬光伸さんパワハラ問題」

 

【第2回】山本一郎氏のCAモバイルとの離別、楽天への癒着 - "総会屋2.0"山本一郎(やまもといちろう)氏の検証」に続きます。

【はじめに】「総会屋2.0」は何が問題なのか

先日、kawango氏が山本一郎氏を「総会屋2.0」と呼んだことが話題になりました。

山本氏は、実際にどのような人物なのでしょうか。

本当に「総会屋」のような仕事をしているのでしょうか。

ご本人の経歴や発言などの、確かな情報を元に検証したいと思います。

 

INDEX

 

1 - 影響力の大きい山本氏の発言

山本一郎氏は、1973年生まれ、ブロガー、投資家、イレギュラーズアンドパートナーズ株式会社代表取締役などで知られています。

Twitterでは10万人のフォロワーがいて、山本氏の語り口調や、発信される情報の面白さ、議論の強さなどから、ファンの方も多いことと思います。

全体で月間1億5000万のPVがある「Yahoo!ニュース個人」のオーサーでもあり、「やまもといちろう砲」の異名で有名です。先般、12/7に開催された「Yahoo!ニュース個人 オーサーカンファレンス2016」にも登壇しました。

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出典:https://twitter.com/Fuwarin/status/806438929784147968

 

また、ネットだけに限らず、フジテレビ系列「情報プレゼンター とくダネ!」のレギュラーでもあり、NHKほか多数のテレビにも出演する、とても発言力の大きい人物です。

 

ですが、kawango氏の発言にあったように「総会屋」のような仕事をしているのだとしたら、山本氏の発言には「世のため、人のため」とは異なる、別の目的が含まれているのかもしれません。また、そのようなフェアでない発言に大きな影響力があるのは問題です。

 

2 - 「チョウチン記事は絶対に書かない」

 「総会屋2.0」と呼ばれた山本氏は、自らそれをネタにして否定しました。

また、このインタビューでは「チョウチン記事は絶対に書かない」とも明言しています。

 

さらに、話題となったAppBank社のステマ問題を追及する記事では、次のように述べています。

「総会屋2.0」に孕む問題性は、山本氏自身が指摘するこのステマ問題と共通する部分がとても多いです。さすがと言うべきか、「こういう件」に関する理解が深いためか、普段から身近なことなのか、的確に問題を指摘している記事なので、長くなりますが引用します。(※太字・下線は筆者による)

やっぱりメディアという仕事は高い倫理観を持って王道を歩んで欲しいと思うンゴねぇ…。<中略>

 

ステマステルスマーケティング<中略>の問題は、要するに「客観的で中立な記事を装ってメディアが掲載したけど、その記事は金もらって、業者にとって有利な宣伝となるよう手配されていた」ことに課題があります。読者からすると、普通の記事に見えるため、うっかり信じ込んで、これは良いものだと読者が思い込んでしまう。これを、『優良誤認』といいます。<中略>

 

「取引の確認を明示されているか」と「有利誤認や優良誤認を消費者に導くものであるか」です。前者は<中略>金を包んできた業者の言うとおりに権威を振るうこと後者は<中略>品質や効果が実態と異なるほど素晴らしいものであると誤認させるかです。一般論として、アプリにおけるステマとは「広告宣伝費やタイアップ料を媒体が受け取っていながら、その関係性を明示しないで提灯記事をダマで書くことと、「大して凄くもないアプリを、凄いものであるかのように見せる」優良誤認を導くことで、景品表示法上の不当表示であり違反だと判断されるわけです。<中略>

 

一連の話は、<中略>むしろその媒体の信頼の問題であり、読者と媒体がどういう関係を築くか、ロイヤルユーザーが参考に足る記事を書いて媒体と一緒になってどこを目指すのかということですので、媒体の倫理観だとか、物事を正しく運ぶ意欲や能力があるかといった内容になるわけであります。<中略>

 

しかしながら、AppBankに限らず、この手のステマをやってくれる媒体社はだいたい”累犯”で、代理店やPR会社は「この媒体社は何でもありだから金を払えば提灯記事ステマもやってくれる」と分かり次第、繰り返し依頼をしてきます。<中略>モラルさえ捨てればおいしくてやめられないというシャビーな感じになるわけであります。

 

3 - ネット前史から続く「総会屋」問題 

ステマはいわば「隠れチョウチン記事」「隠れ擁護」ともいえる問題ですが、総会屋は「擁護」や「火消し」だけでなく、「攻撃」も「荒らし」するので一層悪質です。また、態度が敵から味方へ、味方から敵へ容易に転ずるのも特徴です。

 

山本氏は、上記のAppBank社をはじめ、さまざまな企業の不正や問題を告発してきました。

事実関係が間違ってないならば問題ない、企業の不正を告発するのは良いことだ、誰しも色んな立場があるのだから仕方がない、と思う方もいるかもしれません。

しかし、そのような行為はかつてから「ブラック・ジャーナリズム」として問題視されていたことなのです。

kawango氏が「総会屋2.0」と呼んだように、もちろんインターネット以前にも、いわば「総会屋1.0」の問題がありました。Wikipediaから抄出して引用します。

総会屋 - Wikipedia

●進行係(与党総会屋)
会社の説明に「原案賛成」「異議無し」の立場で進行を図る者。無風の「シャンシャン総会」にさせるのが仕事。ただし、会社側の態度や対価によっては、総会荒らしに転じる危険も有する。


●会社ゴロ(野党総会屋)
総会で無意味な発言や質問、スキャンダルに関する質問を繰り返し、議場を混乱させることで己の存在を認めさせた上で、その行為を止める事への「対価」として利益を得ようとする者。
嫌がらせのタイプも幾つかあり、幹事総会屋の下に、攻撃屋、防衛屋、仲裁屋と役割分担し台本を書いて動く者をはじめ、噂をばら撒いて企業の信用を毀損する行為を行う者(事件屋)などが居る。


●新聞屋(出版屋、雑誌屋、通信社など)
総会屋とブラックジャーナリストの中間に位置し、新聞や雑誌を発行する。

ブラックジャーナリスト - Wikipedia

ブラックジャーナリストとは企業のスキャンダル等をネタに金銭を要求し生計を立てているジャーナリストの総称。

仕手筋と組み、ターゲットの評価を落として株価を下げて空売りで利益をあげようとする者もいる。巧言を用いて企業に食い込み大金を巻き上げる方法を取るなどは事件師とも言われ、組織内で高い評価を受ける。

近年、独自のインターネットサイトを持つブラックジャーナリストが複数いることが確認されている。
ブラックジャーナリストはスキャンダル暴露型とスキャンダル捏造型の2種類に大別できる。前者は実際にスキャンダルが存在しているため、もみ消したい企業がブラックジャーナリストに金銭を渡すこともあるが、多くの場合、後日雑誌等に掲載されることになる。

 

ステマ景品表示法に抵触するように、総会屋の行動は「会社法第120条」で規制されています。

以降の記事で取り上げるような山本氏の一連の行動が、この法律に抵触するか、否かについては法曹界にお任せします。

しかし、現行法に抵触しなくとも倫理的な問題が残るのならば、新たな法整備が必要であるのかもしれません。

また、雑誌の誹謗中傷記事を争う裁判では、その記事の執筆者のみならず出版社も併せて訴えられます。問題がある記事は執筆者のみならず、注意義務を怠って流布したメディアにまで責任が及ぶのは、ネットニュースでも同じです。

(参考:ヤフー 産経の配信記事掲載し名誉棄損で賠償命令 | R25

 

前置きが長くなりましたが、山本一郎氏は自身の言葉を守れているか、「総会屋2.0」にはどのような問題があるのか、第1回の記事ではAppBank社への追及について検証します。